
家庭用に安価な3Dプリンターが市場に出てきたこともあり、お子さんのためにプリンターを購入するご家庭も増えてきています。
小学生だとまだ設定に大人の助けが必要かもしれませんが、中学生になると自力でできる子も出てきます。お子さんがものづくりに興味があるようでしたら、3Dプリンターを買ってあげるのもいいかもしれません!
ただ、大人が個人用に購入するのであれば好きなものを買っていいと思うのですが、お子さんがいるご家庭で購入するならば、選ぶポイントはやはり少し変わってくると思います。
とはいえ、3Dプリンターなんて使ったこともないし、どこをポイントに選んだらいいの?という方向けにこの記事では3Dプリンターの選び方について考えていきます!
子どもと一緒に使いたい!選ぶポイントは?
具体的には以下の項目がお子さんのいるご家庭で3Dプリンターを選ぶ際のポイントになると思います。
- 操作が簡単か
- →お子さんでも扱えるといいですよね
- 造形中の様子が外から見えるか
-
→作っているところが見られる方が楽しいですからね!
- 造形中に触れないようになっているか
-
→造形中は200℃を超える温度になります
→囲いがある方が造形温度が安定します - 大きさは適当か
-
→当たり前ですが大きいほど高価です
- 値段は安価か
-
→大人だけで触るより壊れる可能性が高いため
- 部屋の中でできるかどうか
-
→実はにおいや稼働音というポイントがあります
あと個人的には、
- プラットフォーム(印刷する板)が着脱可能
- サードパーティ(他社)製のフィラメント(材料)が使える
- →印刷した後取り外しやすいため
- →いろんな色の材料で印刷できた方が楽しい・純正よりも他社製の方が安いこともあり経済的なため
という点があるといいなと思いますが、必ずしも必要ではないかなとも思いますので参考までに。
熱溶解積層(FDM)方式と光造形方式はどちらがいい?
家庭用に多く販売されている安価な3Dプリンターには熱溶解積層方式(FDM)と光造形方式の2種類があります。
熱溶解方式は材料を熱で溶かし、細い糸のようにしてちゅーっと押し出して重ねて冷まして固めていくもので、光造形方式はレジン液に紫外線を当てて固めていくものです。
熱溶解積層(FDM)方式の特徴
材料である樹脂を高温(200度前後の高温です)で溶かし、造形板の上に一層ずつ積み重ねていく方式です。
熱溶解積層(FDM)方式のメリット
- 価格が安い
- 材料の種類が豊富
- 出来上がりが軽い
- 造形中の様子がわかりやすい
熱溶解積層(FDM)方式のデメリット
- 出来が荒い
- 加工に向かない
- 音が大きい
熱溶解積層(FDM)方式の材料にはABSやPLAなどがありますが、トウモロコシ原料であるPLAをお勧めします。
PLAであれば燃えるゴミに捨てられます(お住まいの自治体によります)し、造形中の匂いも甘い匂いが少しするだけ(ほとんどしないです)で、お部屋で普通に造形できるので安心です。
音は大きいとはいえモーターの駆動音とファンの音であり掃除機のような音がするわけではないので、寝てる間に寝室で動いてるというようなわけでなければそこまで気にならないかなと思います。
光造形方式の特徴
光造形方式はレジン液に紫外線を照射することで形を積み上げていくタイプの造形方法です。
プラットフォームと呼ばれる造形板をレジン液に浸し、下からUVライトを当てていくため、出来上がった造形物は逆さまで取り出すことになります。ちょっと面白いですね。(上から当てるタイプのものもあります)
光造形方式のメリット
- 仕上がりが綺麗
- どの機械にも蓋がついている
- 音は静か
光造形方式のデメリット
- 造形中の様子がわかりにくい
- 素材がレジンのため臭いがする
- 色々な後処理が必要
光造形方式は熱溶解積層(FDM)方式と比べて圧倒的に造形(出来上がり)が綺麗です。その分熱溶解積層(FDM)方式と比べて手間がかかります。フィギュアのような精密な造形が必要な場合はこちらの方がいいですね。こちらの方が加工もしやすいです。
ただ、材料であるレジン液に刺激臭があり換気が必要なことや、レジン液を触らないよう気を使わなければならないのは、ご家庭でお子さんと一緒に作る、という点で見ると少し不便かと思います。
また、光を当てて造形していくものなので、液体から出てきたときにはすでに形ができており、どのように出来上がっているのか見ていてもいまいちわかりにくいかもしれません。
おすすめは熱溶解積層(FDM)方式
以上を踏まえまして、「お子さんと一緒に使うために」という視点でどちらがいいかを考えたとき、熱溶解積層(FDM)方式の3Dプリンターをおすすめします。
ですが、熱溶解積層(FDM)方式の3Dプリンターには蓋がないものも多く、お子さんが造形中に手を触れてしまえるため、蓋付きのものを探してくださいね。
どの3Dプリンターも安全性を考えて作られていますが、造形中のノズル(材料を押し出すパーツ)内部は200度ほどの高温になっていますので、蓋があるのに越したことはないですね。
ということで、蓋付きの熱溶解積層(FDM)方式の3DプリンターでPLAという材料を使用すれば、最初に挙げた項目の「造形中の様子が外から見えるか」「造形中に触れないようになっているか」「部屋の中でできるかどうか」はクリアできることになります!
あとは「操作が簡単か」「大きさは適当か」「値段は安価か」といったところですね。
操作が簡単かどうかってどこを見るの?
組み立て済みかどうか?
操作が簡単かとは少し違うかもしれませんが、購入した後自分で組み立てが必要なものは価格が安いです。が、初めて購入する3Dプリンターで安さを優先して組み立てられないということがあっては困るので、開封してすぐに使えるものがいいですよね。
スライスソフトがあるか?
スライスソフトというのは、印刷をする際に印刷速度などの設定を簡単にできるソフトのことです。3Dプリンターの会社によっては専用のスライスソフトが用意されているため、簡単に設定することができます。
印刷する前に「どのモデルをどのように印刷するか?」のプレビューが見られるのであると安心です。
自動キャリブレーション機能がついているか?
オートキャリブレーションや自動調節、校正とも呼びます。3Dプリンターの印刷の土台(プラットフォームといいます)とノズルの距離や板の歪みなどを測定し、自動で適切な設定にしてくれます。これがないとネジを回したり高さを設定したり自力で調節しないといけないので、オートであるに越したことはないです。
日本語のユーザーサポートや動画はあるか?
3Dプリンターはまだまだ海外のものが多いため、説明書が英語しかなかったり、サポートが英語しかなかったり…ということがあります。
日本語で扱えるかどうかはもちろん、実際に同じ機器を使用している人のレビューや動画、記事があるかというのも大きなポイントになります。
3Dプリンターを使う上で知っておいて欲しいこと
3Dプリンターのノズルは消耗品であるということ
私は6万円台の3Dプリンターを使用していましたが、使用の累計時間が800時間ほどでノズルが消耗し、造形ができなくなりました。
ノズルが消耗しても無理やりに使用していたため、実際はもっと早めに交換が必要になると思います。2~3万円台の3Dプリンターであれば更に交換時期は早いと思います。
機械が壊れていなければ、ノズルを交換すれば済みますが、時期が迫ってきたら少しレベルアップして大きいものを買うのかどうか、それともあまり使わないからなどを見極める必要があります。
印刷前の調整は毎回やった方がいい
キャリブレーションやZ軸の調整などは、印刷前に毎回きちんとやることが推奨されます。そのため、モデルを用意すればすぐに印刷できるというわけではありません。
丁寧に手間を掛ければ印刷の成功率も上がりますので、多少時間は掛かりますが適宜調整を行いましょう。
フィラメント(材料)は湿気が大敵!
フィラメントは湿気を吸いやすく、湿気てしまうと印刷時に気泡が入ってしまったり、印刷に失敗したりすることがあります。
使用していない場合は必ず乾燥剤と一緒にチャック付きポリ袋に入れ、なるべく空気を抜いて保管しましょう。百均に売っているものでも大丈夫です。
使用中はどうしても外に出しっぱなしになるので湿気を吸ってしまいがちですが、湿気てしまった場合にはフィラメントドライヤーという専用の乾燥機を使用するか、発酵機能付きの電気オーブンに入れて45℃程度の温度で8時間ほど温めるという方法があります。
大きさはどうやって見るの?
造形サイズに注目しよう!
3Dプリンター本体の大きさもご家庭に置く場所があるかどうかを見るために大切ですが、3Dプリンターは「印刷」をするためのものなので、どれくらいの大きさの印刷物が作れるのかが大きなポイントになります。
大きい印刷物ができるものほど本体のサイズも価格も高くなりますので、安く収めるためには「どのくらいの大きさのものが印刷できればいいのか」を見極める必要があります。
多少のものが作れればそれでいいのか、それもとせっかくだから大きいものを作れるプリンターが欲しいのか、何を作りたいかで考えてみてくださいね。
ただ、大きいものを印刷しようとすると印刷に一晩中かかることもあり、長時間印刷して途中でエラーになって失敗したらどうしよう…という怖さもあります。大きいものは分割して印刷し、組み立て式にする手もあるので、個人的には最初は小さめサイズがおすすめです。
お子さんと使うのにおすすめの3Dプリンターはこちら!
ということで、以上を踏まえてのおすすめの3Dプリンターを紹介します! (できるだけ初心者向けで子どもと使うのに適したものをおすすめしていますが、詳細は商品ページで確認してくださいね)
QIDI TECH i mates 3Dプリンター
ご紹介する中では一番高いものですが、3Dプリンターの中ではかなり安価です。造形中に内部に触れられないように扉がついているのもいいですね。もちろん内部を覗くことも可能です。
またこのプリンターの良いところはプラットフォーム(印刷の土台)が温められるという点です。プラットフォームが温められると、造形物の反りが軽減され、より思い通りの印刷が可能です。
レビューの数や使用している人の数が多いのもポイントですね。
ENTINA TINA2S
これもすごく良いと思います。なんと2万円台です!見た目も可愛いですね!
スマホのアプリで印刷が可能なので、ご家庭にパソコンがなくてもスマホがあれば印刷ができちゃう優れものです。
前面は窓ではなく空いているようなので、透明な仕切り(プラバンとか?)を貼ってあげると安全かも。
S SMAUTOP
まさかの1万円台!レビューにかなり参考になることがいろいろ書いてあるので、困ったときはレビューを見れば解決するかも。笑
届いてから組み立てが必要になりますが、かなり簡単に組み立てできるようです。囲いがないのがちょっと不安ですが、「印刷中は絶対に触らない!」という約束を守れるお子さんならよさそうですね。
【番外編】3Dプリントペン
3Dプリンターではありませんが、熱溶解積層方式と同じ要領で、空中に造形物を作り上げる3Dプリントペンというおもちゃもあります。ペンの中で材料を溶かし、空中で冷まして固めることで形が残るという仕組みです。
これであれば事前のモデリングは必要ありませんし、何より3Dプリンターと比べて5000円前後とすっごい安い!私も一本欲しいです!
魔法少女みたいでめっちゃかわいいのもあったよ~
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お子さんと使う3Dプリンターを選ぶポイントおさらい
- 熱溶解積層(FDM)方式のもの
- 蓋がついているもの
- 買ってすぐ使えるもの
- スライスソフトがある
- 自動キャリブレーション機能がある
- 日本語対応のサポートや記事、動画がある
画面の中で見ているものが立体物になるという経験はやはりお子さんにとってかなり興味深いものになると思います。小さくても1台あれば使いたいときに使えますし、普段使いにはもちろん、夏休みや冬休みの工作にもいいかもしれませんね!
お子さんと楽しく3Dプリンターを使おう~
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